虫/コジマ

tail-soup2008-09-06

まだ朝だと言うのに我が家のチャイムを鳴らす馬鹿が居るので、「誰だよド畜生」と思いながらベッドから抜け出し窓から確認したら、大家だった。
前日吐くまで呑んだ翌朝だったので奈良漬けに転生した様な心持ちだったのだが、引っ越したばかりだと言うのに何か粗相をやらかしたか、と不安な気持ちになり、着替えもそこそこに玄関に飛んでいった所、やにわに枝切り鋏を差し出された。
何だろうと怪訝な顔をしていたら「先日貸すと約束していただろう」等という。
はて、とアルコールの霧の向こうにかすれて見えづらい記憶を手探りで探ったところ、そう言えば前に、庭木の剪定の際には大きな枝切り鋏を貸してくれる手はずになっていた事を、薄らぼんやりと思い出した。
要するに、
「そろそろ庭木の剪定をせよ」
と言いたいらしい。

確かに、梅の木の枝が道路に大きくはみ出しているのだが、はみ出した部分は4tトラックでも無い限り引っかからない高さだ。
そしてその道は単なる路地で、めったな事でも無い限り4tトラックなど通りそうも無い所なのだが、大家がやれと言うのだからしょうがない。

農作業や庭いじりは嫌いな方では無いのだが、実は我が家の梅の木には正体不明の不気味な虫が付いているかもしれないので、あまり登りたく無いのである。

それは夏の初め頃、一回だけ見た虫で、曰く言い難い姿をしている。
言い難いので絵に描いてみた。
友人達と呑んでいる折りにも図に描いて説明した事があるのだが、皆「こんな虫居ねえよ!!」と言う。
だが、確かに居たのである。
写真を撮っておけばよかったと思うが、その時はあまりの気味の悪さに、枝ごと隣家(空き家)の庭に捨てたのだった。
また出会ってしまったらどうしよう、と思ったが、そうしたら今度こそ写真を撮ってやろうとも思う。
出会いたいのに出会いたくない、そう言うアンビバレントな心持ちでおっかなびっくり梅の枝を剪定したのだが、残念ながら今度は見つけることが出来ず。
その代わりと言っては何だが、椿に又チャドクガの毛虫がわいていて凄く嫌だった。
速攻キンチョール&100円ライターの火炎放射器でサーチ&デストロイ。

それにしても、あの虫は一体何だったんだろう。
俺は子供の時分、夏休みには虫採りに血道を上げていたタイプなのだが、アレは図鑑でも見たことが無い・・・ような気がする。
誰か知っていたら教えて下さい。
それともやはり、アルコールが見せた幻覚なんだろうか。