不当判決の不透明な部分/コジマ

11日に、立川反戦ビラ裁判の最高裁判決が言い渡され、被告人の有罪が確定した。
悔しいし、腹も立つ。
なんぼ官憲と裁判官の悪口を言っても言い足らないぐらいだが、言ってもしょうがないので判決の問題点について書き記しておこうと思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どういう事件か。
スゲエ簡単に言うと、立川自衛隊監視テント村という反戦団体のメンバー3人が、03年11月〜04年の2月(つまりイラク自衛隊を派兵しはじめた時期)に立川自衛隊官舎に反戦ビラをポスティングしたら警察に捕まった上75日間も監獄に入れられて、その上1人10〜20万円罰金払えってお話。

第一審では無罪だったんだけど、東京高裁では有罪、そして今度の最高裁判決では被告人の控訴棄却で有罪。


第一審で無罪だったポイントは

・管理者がいる敷地内だから住居侵入は住居侵入。でも共有部分にしか入ってない(自衛隊官舎、というといかめしいが、実体的には団地であり、ゲートなどは設置されていなかった)。
・ビラ投函の動機が政治的意見の表明という正当なものである(嫌がらせとは認められない)。
・そんなにしょっちゅう配ってないし、配り方も、昼間に、少人数(3人)で、短時間であり、周囲の静謐を害するものではない。
・入居者らの反対を押し切ってまで配ってない(住民に注意されたらその棟からは素直に退居している)。
・ビラの内容はイラク戦争に反対の新聞などの主張と比べて特に過激で不快とは言い難い(嫌がらせではありませんよ)。
・こいつら、別に放置して置いても危険はない(30年以上の歴史があり、立川自衛隊駐屯地とはある意味顔なじみ。人数ヒトケタ。貧乏。政党や過激派とのつながり無し)。



上告審で(検察側の控訴)で有罪だったポイントは

・被告人の思想やビラの内容は問題視してない。でも 、たとえ団地でも、管理者がいる敷地内だから住居侵入は住居侵入。門は無かったけど「関係者以外立ち入り禁止」って立て札も有ったし、管理人がダメって言ったらダメ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最高裁判決だが、2年も待たせたくせしやがって、判決文はたったの10ページ、核心部分に至っては1ページ強しかない(弁護士曰く、「こんなの1時間もありゃ書けるよ」)。
判決文読み上げはたったの2分で終わったらしい。

しかも、内容は単なる一般論である。
ミクシイ日誌なんかに見られる、奴隷根性丸出しの奴が適当に書き散らしている内容と変わんねえじゃねえか。なんだそりゃ。
それでも専門家かよ。


しかも、被告サイドからも検察からも、膨大な量の証拠資料を提供された上での所行である。
仕事しろ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

問題点は一杯ある。

「被告人の思想やビラの内容は問題ではない。あくまで只の住居侵入。管理人がダメって言ったらダメ」と言うのは全然ゴマカシなんである。


この事件、あくまで「被害届を出したのは官舎管理人」と言う事になっているが、実際にはこの「被害届」は公安警察の指導で作られた物である。
これは陰謀論では無く、第一審の際の証人質問(しかも検察側の証人で、被告サイドに敵意を持っている自衛官の方の証言。公判後、しばらくの間「なんて正直な人なんだ。ちゃんと打ち合わせぐらいしとけよ検察も」と関係者の間では話題騒然だった)であきらかになったものだ。
それにさ、思想が問題じゃなかったら公安が動く訳ねえだろ。
馬鹿じゃねえの。

あと、この証人の方は「こういうビラはピザ屋のビラとは訳が違う。こういうのは取り締まって欲しい」とも言ってました。
すっげえビラの内容にこだわってんじゃん。
もちろん、住民には「不快なもんは不快」だと主張する権利は有ると思う。

でも、この判決を支持している人達は「住民が嫌な事をしちゃいかんだろ」と言うのだが、判決にはあくまで被害の主体は「管理権者」って事になっているのだ。
この「管理権者」ってのは住んでらっしゃる自衛官の方々ではなく、防衛省(事件当時防衛庁)なのである。
アレですか、自衛隊の人ってのは、国がダメ出しした情報は手に入れる事が出来ないって事でしょうか。
北朝鮮とか中国と変わんねえじゃねえかよ。


あと原則論持ち出すのって最高裁の奴らと同じでバカバカしいんだけど、あくまで「住居侵入」にこだわるんだったら何故ピザ屋のチラシは取り締まられないのか、と言う話になると思うのですが。

それと、第一審の時に被告サイドから提出された証拠で、「集合住宅に配布された、自衛官募集のチラシ」と言うのが有ったのを追記して置こうと思う。

やってること同じじゃん。
仲間仲間。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ミクシイ日記やブログで「妥当判決」だのなんだのと吹き上がっているお方が、別のテキストでは平気で「フリーチベット」と言っているのはギャグなのか、それとも乖離性同一性障害みたいな深刻な精神障害に冒されている気の毒な人なんだろうか。

中国政府によるチベット人弾圧は許せないけど、日本政府による「プロ市民」派弾圧は歓迎って事ですか。
香ばしいよなあ。
今度の最高裁判決は、日本の人権意識がどんどん中国に近づいていってる証拠だと思うのだが、その辺彼らはどう思うのだろうか。
もしかして民度まで中国に近くなっているのか?

「右翼」と呼ばれている人達でも、たとえば鈴木邦男などは「これはおかしい」と発言している。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2207/2005/shuchou1226.html

一水会は「文句言うなら観てから言おうぜ」と「靖国」の上映会をやるみたいだ。
鈴木は「靖国」が上映中止になった時「私は絶句した。涙が出た。悔しかった」とまで言っている。

http://kunyon.com/

男前だと思う。

**************************************

さて、鈴木邦男も大嫌いな(笑)公安がどの様に立川反戦ビラに絡んできたのか。
そして目的は何だったのか、については随分前の「サンデープロジェクト」でやっていた筈なので、それに付いて調べていたらこんなブログを発見した。

http://himadesu.seesaa.net/article/15715229.html

良くまとまっていて読みやすいなあ。

「政府に批判的な意見は有害思想」と言う事以外に、「公安も官僚組織であり、予算獲得の為、組織維持の為に、ソ連崩壊後は『事件』をでっち上げる必要が有った」と言うのは説得力が有ると思う。

ようするに、税金の無駄遣いをもやっている訳です、奴らは。


それと、担当検事にも注目である。
この事件を担当・起訴したのは東京地検検事(当時)の崎坂誠司だったのだが、彼はこの頃連続して政治性の高い事件立件・起訴している。
http://www.asyura2.com/0411/senkyo7/msg/555.html


ここまで役者がそろっているのに、「単なる住居侵入」の訳が無いのである。

それなのに、最高裁判決の〆はこうだ。
憲法違反・判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。よって、同法408条により、裁判官全員一致の意見で、主文(「本件各上告を棄却する」)のとおり判決する」


舐めてんのか。

************************************


どうせ三権分立もままならない、ニセ民主主義国家の最高裁が出す判決だからろくなもんじゃねえだろうとは思っていたのだが、実際出てみるとホントむかつくだけだ。

元々遵法意識の希薄な俺なのだが、余計に法律なんかどうでもいいじゃねえか、俺達の為に有るわけじゃねえんだしよう、ってな気分になる。

この事件で一点だけ被告人(ってえか、もう元被告人か)に非があるとすれば、それは「確かに不快に思う住民だって居ただろう」と言う事だ。
でも、我々は普段から、不快な情報にさらされて生きている訳である。
例の検察側の証人で出てきた自衛官の方だって、多かれ少なかれ誰かに迷惑を掛け、不愉快な思いをさせていると思う。
生きていくと言うのはそう言う事だ。
率先して不快な思いを人に与えて良いとは思わないが、それを犯罪として立件しようと言うのは無茶苦茶だ。
裁判官も、「妥当判決だ」とか言っている奴隷諸君も、自分たちがどれだけ不快で醜悪な人間なのか、それを他人がどれだけガマンしてやっているか分かって無い。
町田町蔵の名言を彼らに送りたいと思う。

「お前ら、俺より偉いんか!」