映画史に残るチンケなハルマゲドン/コジマ

そういう訳で、映画版「デビルマン」を観た。
江川さんの経営する笹塚のビデオ屋「ピープル」から借りてきたものである。
この店は歴史が古いので膨大なカタログを揃えていて、他の店には無い珍しいソフトや古い映画を探したいときに最適であり、俺ももっぱらその様な作品を借りる事にしている。
この時も前々から観たいと思っていたブラジル映画「ピショット」を発見、イソイソとカウンターに持っていたのだが、江川さんがどうしてもコレも観て欲しいと言う。
前々から非道い非道いという噂しか聞いてなかったのだが、そこまで勧めるのなら・・・と思い観てみたのだが。
百聞は一見に如かず。
本当に、いや本当に非道い映画だった。


・「原作通りにした」つもりらしいが、大事なポイントをことごとく削っているのでストーリーが破綻している。

・脚本が本当にクソ。意味不明で陳腐なセリフのオンパレード。説明不足の部分をセリフで何とかしようとした箇所も非道すぎるのだが、驚くべき事にそれでも説明出来てない。

・演出がシュールすぎる。誰にもまったく感情移入出来ない。こういうコマーシャルな映画でコレって、或る意味スゲエ。

・そして、役者が皆大根。って言うか、メインキャラクターは全員素人で、主役に至っては「演技をしたのは学芸会ですら無い」らしい。成る程、学芸会以下だったよキミの演技は。


上記の様に、映画の根幹をなす部分がダメ、というかそもそも空虚なんだから、これでクソ映画にならないはずが無い。
さらに

・アクションシーンに必然性もリアリティも無く、その上スローモーすぎる。

・CGも手間はかかっていそうなのだが、やっぱりタルイ。緊迫感無し。あとこのアテレコにOKを出した人の勇気に拍手。

あと一番問題なのは

・多分、メインスタッフもメインキャストも、誰一人原作を愛していない。

これに尽きると思う。
いや、過度の愛情も、それはそれで作品崩壊の原因なりうるんだろうけど、この映画才能がある人が誰も参加してねえんだもん、情熱ぐらいないとダメだろ。


全体的に非道い映画なのだが、キャスティングは特にツッコミどころ満載だ。

シレーヌ役に富永愛は特殊メイクにNGを出しやがったらしい(だったら出るなよ・・・。ってえかオファーしたの誰だよ)。
結果、出来損ないのコスプレみたいにしか見えない。お似合いですよ。

・チョイ役でボブ・サップやら小錦やらフッくんやらが出てくるのだが、あまりにも意味無しで唐突すぎて、出てきた瞬間に深読みしちゃってストーリー・・・いやすでに崩壊はしてるんだけど、さらにそれが止まる。

・ミキちゃん役がズベ公にしか見えない。ヤらせて。 カツ丼おごるから。

・主役二人は、とにかく最低。


見終わったあと、あまりの非道さについついネット検索してみたら「映画デビルマンを徹底的に叩く!!」
と言うサイトまで出来ているらしい・・・
http://howaan.hp.infoseek.co.jp/
ポリアンナでもいいとこ探しが出来ない」と言う表現には腹を抱えて笑った。

愛されてるなあ、デビルマン
いや、原作だけじゃなくてこの映画も。
こんなサイトまで出来るぐらいなんだもんなあ。
あんまり非道すぎて、俺もなんか好きになっちゃったもんななあ。


それにしても、10億も掛けているのか、この映画。
野暮だと思うからこんな事は言いたくないのだが、しかしそれでもどうしても言わずにいられない。
10億あったら、どれだけの数の飢えている人を救えるのか。
いや、エンターティメントの世界で消費するにしてもさ、才能の有るインディーズ監督10人に1億ずつあげた方が、絶対映画界全体の為にも、それに東映の為にもなったと思うよ。
あ、もしかしたら10億って「円」じゃなくて「ペソ」(しかもコロンビアペソ)?


観てない人は是非是非観て欲しい、そんな気持ちにさせられる映画でした。
酒のサカナにピッタリですよW

ところで、グレン・ダンジグ(元ミスフィッツ。デビルマンを愛するあまり、カタカナで「デビルマン」という入れ墨をしている)はこの映画観たんだろうか。