G/コジマ

ここ最近、俺のガラスのアヌスの調子がすこぶる悪いので、病院へ行った。
以前行ったのが一昨年の7月なので、ほぼ一年半ぶりである。


アレの触診は「何にもしなくとも痛い場所に、やおら指を突っ込んでグリグリする」というとんでもなく痛いものなので、出来たら二度と行きたくないと思っていたのだが、薬局の売薬では一時しのぎにしかならないので致し方なし。


触診の激痛もさることながら、人間としての尊厳も木っ端微塵である。
むしろ、痛みよりもその羞恥プレイが肛門科の門をくぐるのを躊躇させる一番の理由だ。
何が悲しくて、いい年して公衆の面前で見ず知らずの人にケツの穴に指を突っ込まれてヒーヒー言わなくてはならないのか。
将来、パティシエとかエッセイストとか野菜ソムリエとかカラーコーディネーターだとかの、たとえるならちっちゃな一口パイみたいなお洒落で女々しい仕事に転職したいものだと夢見ていたのに、これでは台無しである。
もうね、パティシエとかエッセイストとか野菜ソムリエとかカラーコーディネーターだとかは、みんな痔になればイイと思うよ、俺は。
王理恵とかね。
そうしたら、人様のソバの食い方にケチつけるみたいなケツの穴の小さいこと言わなくなるからさ。
って言うかね、ソバは啜るのが正しい食い方だってえの。


などと、やり場のない怒りを胸にてくてく歩いていたら、あっと言う間に病院についてしまった。
我が家から5分。
無駄に近すぎる肛門科に、再度やり場のない怒りをおぼえる。
そんなにしょっちゅう来ねえよ(希望)。


また、受付のチャンネーが無駄にカワイくて腹が立つ。
「どうされました?」
どうもこうもねえよ。
痛えんだよ!ケツがっ!!悪いかよっ!!!


待合室には、俺一人しか居なかった。
痔で苦しんでいるのは世界中で俺一人のような、そんな不安な気持ちになる。
っつーか、この病院内科でもあるんだけど、このシーズンに何故俺一人しか患者が居ないのだろうか。
もしかしたらとんでもないヤブなのか?
さらに不安な気持ちで待つこと3分、診察室へ呼ばれた。


妙齢の看護婦さんに
「じゃあ、ズボンもパンツも全部脱いで、ベッドで横になって待ってて下さい」
と、こう言うシチュエーションじゃなかったらどんなに良いだろうという台詞を言われ、待つこと30秒。
不安におののく俺の前に、医療用ゴム手袋をしたおっさんが立ちはだかった。


「はい、じゃあ力抜いて〜」


・・・信じられない激痛。


「う〜ん、大した事ないよ、良かったね」


こ、これで大した事無いのか。
痔瘻なんかになったら、俺、死ぬんじゃないか?


「出血は無いようだね。注入軟膏だしておくから、しばらくは朝晩2回ずつ使ってね」


家に帰って、肛門に当てられたガーゼを取ってみたら血が滲んでいた。
ってえ事は、つまり触診の時に切れたって事か畜生。
やっぱヤブなんじゃねえのか?