スタイル/オノテツ

シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』と日比谷カタンを2007年9月4日(火)チェコセンターに於いて鑑賞する悦楽共犯者たち。
と題されたイベントに行ってきた。
現在、東京のラフォーレ原宿でヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展が開かれているが、それに絡めて日本を代表するシュヴァンクマイエラーである日比谷カタンのライブを、よりにもよってチェコ大使館内の映写室でやってしまおうという、イチローが単身メジャーリーグに乗り込み、安打数の新記録を打ち立てるようなすごい企画である。
しかも、前座がシュヴァンクマイエルの製作現場を撮ったドキュメンタリー映画シュヴァンクマイエルのキメラ的世界』ときた。
これはもはや「日比谷カタンシュヴァンクマイエルを超えた」ということにもなりかねない事態だ。
王貞治選手がヤクルトの鈴木投手から756号の本塁打を打ったときの興奮が胸の中によみがえる。


そんな我々の熱い思いを知ってか知らずか、日比谷カタンはいつものように低姿勢で毒を吐きまくっていた。
客の半分は大笑いし、半分はキョトンとしている。
その半々っぷりはまさに日比谷カタンの世界であり、すなわちシュヴァンクマイエル的な世界でもある。
決してメジャーな方法論ではないが、しっかりと地に足の着いたやり方だ。
と、オレは思うのだが、そんなオレの思いを知ってか知らずか、カタンはいつものように何度もアタマを下げて謝りながら楽屋へと消えていった。
その頼りない足どりもまた、音楽と同様、一貫した彼のスタイルなのである。