中野/オノテツ

3時就寝、9時起床。
久々に朝から仕事に行くが、夕方の4時ころには終わってしまい、早々と解放された。
夜は8時に中野で人と会う約束をしていたのだが、それまでずいぶんと時間が余る。
中野に行き、ちょっくらタコシェに顔を出してから、近くのドーナッツ屋に入って手持ちの仕事を進めることにした。


ドーナッツは、どういうわけかときどき無性に食べたくなる。
中身が白いクリームで、外にチョコのコーティングがされているのが好きだが、オールドファッションのゴツゴツしたやつも捨てがたい。
コーヒーがアメリカンのみで少々物足りないが、おかわり自由で長居ができるから、そこは目をつぶってガマンするしかない。
水のような黒い汁を飲みながら2時間ほど仕事をして、中野駅の待ち合わせ場所に戻った。


TVディレクターのW氏と落ち合い、何度か行ったことがある居酒屋に腰を落ち着かせる。
食い物はそれほど美味くはないが、いい地酒と変り種の珍酒を置いている気取りのない店である。
ところが、8時に行ったのに客は誰もおらず、店内には不気味な寒さが漂っていた。
しばらく来ないうちに何か良からぬことでも起きたのかと不安になったが、飲み始めると程なくして客が現れはじめ、9時頃にはいっぱいになった。
意外と出足が遅いのである。
新宿あたりで一杯やってから流れてくる人も多いのだろう。


2時間ほど飲んで食って、その後さらに路地の奥の蕎麦屋に移動して蕎麦を食う。
このあたりは細い道が複雑に入り組んでいて、今にも崩れそうな古い建物が密集している。
小さなバーやスナックが居並ぶ光景がかつての新宿ゴールデン街を思い起こさせる。
W氏も喜んでくれたようで、しきりに辺りを見回していた。
そのうちロケにでも使おうと考えているのかもしれない。
彼の専門はファッションとアートだが、たしかにその手の人々を魅了するフォトジェニックな路地であることは間違いない。