オトコらしさ/オノテツ

ちょうど一週間前の日曜日に今年最後となるであろうライブを行った。
下北沢の自然食レストラン「ぐ」に、京都から「細胞文学」と「青いプランタン」を迎え、一緒に豆カレーを食すという豪勢な企画。
だったはずが、接待役である迷宮怪のメンバーだけがリハを終えた後にとっとと食ってしまい、ライブ終了後の打ち上げの席で青いプランタンの方々がオーダーしようとしたところ、目当ての豆カレーはもはや売り切れ寸前で、最後の一人前を皆で分け合うという、まったくもって申し訳ない事態となった。
そこで代わりといってはナンだが、オレの胃の中のカレーを即座に排出して、ちょっと豆がつぶれてはいるものの、形状や色はカレーとほとんど変わりありませんからどうぞ、と勧めようとしたのだが、あえなく周囲の人に止められた。


そんなオレなりのオモテナシなどお構い無しに、つなぎあわせたテーブルを皆で輪になって囲むという、まるでキャンプファイヤーのような打ち上げ大会は大いに盛り上がり、ここが下北沢であることも忘れ、あちらこちらで京都話に花が咲いた。
思えば、迷宮怪にもマヒくんという関西人を絵に描いたような人がいる。
我々関東の人間にとって圧倒的に不利な状況で、標準語弁で話すのがはばかられるほどだ。
しかも、こういうときに限って北関東代表の我らがギタリスト、チャッピーが不在である。
なぜ不在かというと、足が痛くて先に帰ってしまったのだ。
なぜ足が痛いのかというと、ライブ前にハーフマラソンに出場し、見事に完走を果たしていたからだ。
なぜライブ前にハーフマラソンかというと、そのへんが謎なのだが、チャッピーいわく「忘れていた」らしい。
ラソンの予定を忘れてライブを入れたのか、ライブの予定を忘れてマラソンを入れたのか、話を聞くと前者らしいのだが、いずれにせよアベベもビックリなダブルブッキングで、そんなこと普通の日本人だったらやらないだろうと思う。
そこを黙々と両方成し遂げるところがオトコらしい。
おまけに彼はマラソン大会にそなえて二週間前から禁煙していたと言う。
二週間前だ。
長いのか短いのかわからない、絶妙のタイミング。
次の目標は当然、フルマラソンとライブのダブルヘッダーであるが、そうなると四週間前から禁煙するのだろうか。
いや、しないだろう。
そういう足し算や引き算でカタが付くような準備なら、いっそのことやらないほうがマシだ。
やはり禁煙は二週間前からがオトコらしい。


というわけで、今年のライブは終わりだが、来年はホノルルマラソンの時期にあわせてワイキキの浜でライブをやろうかと目論んでいる。
細胞文学と青いプランタンが一緒に行ってくれれば、ワイキキでも京都話に花が咲くことだろう。
ただ、気がかりなのはチャッピーの足の状態で、彼がまた足を痛めて先に帰ってしまうようなことがあると、関東組のオレとしてはハワイくんだりまで来て一層のアウェー感を味わうことになりかねない。
是非とも冬場にトレーニングを積み、さらに足腰を鍛えておいてもらいたい。