クソガキ2態/コジマ

隣の家で複数の子供がキャッキャ言ってはしゃぎ回る声で目が覚めた。
時計をみたらまだ8時45分。
二日酔いでガンガンする頭を降りながら窓の外をのぞくと、自転車やら車が一杯停まっていて、なにやらお祝いごとをしている雰囲気。
こんな糞朝から馬鹿じゃねえのかテメエら、と朝っぱらから凶悪な気持ちになる。
この家の子供は大変人なつっこく、俺のことは「ウサギのおじちゃん」と呼んでおり、たまに顔を合わせると「ウサギは?」と訊いてくる。
悪いなボウズ、おっちゃんはウサギは好きなんだけど子供は嫌いなんだよ。
社交的な同居人が他界して以来、昨今の北朝鮮外交の如く近隣の家から孤立しつつある我が家なので、こういう友好的な隣人は優遇すべきかもしれないが、兎に角子供は苦手なのだ。
人はどこからきてどこに行くんだろうとか、何故世界はこんなに憎しみに満ちあふれて居るんだろうとか、何故ボクのチンチンは皮が被っているんだろうとか、A子ちゃんの上履きのニオイを嗅ぐとチンチンが固くなるんだけどボクは変態なんだろうかとか、同級生のAくんの事を考えるとチンチンが固くなるんだ男同士なのにボクは病気なんだろうかとか、ボウズがそういう屈託を持ったらおっちゃんも普通に話せると思うんだけどね。悪いね。
って言うか、朝から大騒ぎするのはやめてくれないか?頼むから。
  
  
夕方、色々用事を済ませるため駅前に行き、コーヒーを飲みながら一休みしていると、こんなイナカにはめずらしく、路上で色紙に書を書いて売っている若者を発見。良く居る、あいだみつをのエピゴーネンである。
まあこういうのを読んで勇気づけられたり癒されたりチンチンを固くしたりしている人も居るだろうから文句は無いが、正直俺はあまり好きではない。
ケッ、と思いながら眺めていたら、同じくケッと思ったかどうかはしらないが3歳ぐらいの子供がその中の1枚を手に持ったかと思うと、その若者に向かって投げつけたではないか。
血相を変えて我が子を叱りつけるその母親。
「なんて事すんの!謝りなさい!お兄ちゃんに謝りなさい!」
火がついた様に泣き出す子供。
いや、いいですから、いいですからとオロオロするあいだみつを的な兄ちゃん。
子供はなかなか頑固で、泣き叫んでは居るがイヤイヤをしていて絶対に謝らない。
こりゃ面白い事になったと思って3分ほど見ていたが、子供の何が嫌と言っても泣き声ほど嫌なものも無いので、ゲンナリして用事を済ませに行った。
銀行に行き、クリーニング屋に行き、本屋に寄り、スーパーで買い物を済ませて、再度駅前を通りかかったら、まだ件の親子の騒ぎは続いていた。かれこれ40分は経過している。
まだ謝っていないのか、この子供は。ここまで頑固だと天晴れだ。しかし、こんなに長時間、お店を広げた真ん前で子供と揉めているなんて、商品を粗雑にあつかった子供よりもこの母親の方が迷惑である。
偽あいだみつをもゲンナリしている様子だった。
作品は嫌いだが、状況には同情を禁じ得なかった。