将来の夢/オノテツ

4時就寝、9時半起床。
夕べの酒のせいか、今朝はすこぶる体調が良い。
どうやらカイロプラクティクより日本酒のほうが効き目があるらしい。
こんなことなら最初から一杯引っ掛けて仕事に行っていればよかった。


仕事場でも作業がサクサクと進み、加えていつもより多めに人員が確保されていたから、当初の予定と比べて大幅に早く仕上がりそうな勢いである。
ひょっとしたら終電で帰れるかもしれないと皆浮き足立っている。
ところが、気分が浮いた途端にやっかいな案件が続出し、たちまちペースが遅くなった。
結局いつも通り、何人かは終電後も残るはめになる。
それでも2時過ぎにはすべての作業が終了したから、予定より8時間も早くに終えられたわけで、いやはや天晴れだ。
わずかに余力を残したまま、午前4時ころには家に帰り着くことができた。


そのまま床に就くが、余力を持て余しているのか今度は目が冴えて眠れない。
仕方が無いからゴソゴソと起き出しては、たまっている新聞に目を通す。
2週間の間に世の中ではいろいろなことが起きていたようだが、それらが文字通り右から左へと駆け抜けていく。
どうせ抜けてしまうのであれば、いちいち読まずにまとめてポイと捨てればいいような気もするが、こうして抜けさせてやることこそが大事なのだ。
目を通せば、たとえ記憶には残らなくても鼻の奥あたりに引っ掛かっていて、きっとボケたころに自然と口をついて出てくるに違いない。
そうすれば、メシはまだかと尋ねるしか能が無い哀れな老人になることもなく、むしろ唐突に「独立後初めて民主的なやり方で行われたコンゴの大統領選挙は、いったい誰が勝ったのかね?」などと口走る嫌らしい老人になれるだろう。
孫たちの当惑した顔を見る日が今から楽しみである。