エゴライフ/オノテツ

昨日は昼間にハーピーのリハが入っていたから、仕事に行かずに久しぶりにゆっくり寝させてもらった。
一昨日まで、夜中の5時ころにタクシーで帰宅しては、3〜4時間眠ってまた仕事に行くという繰り返し。
あまりに単調な日々と疲れのせいで幻聴が起き始めている。
寝ている耳元で、知らないオジサンがぺちゃくちゃと喋っている。
明らかに日本語で話しているのだが、まるで意味が通じない。
いるいる、そういうオヤジ。
オレの中にいる。


そんな状態だから、束の間の休息とはいえ本当に有り難いお寝坊タイムだったのだが、しかしある意味、ハーピーの曲を演奏するのはだらだらと何時間も仕事をするよりよほどハードだ。
手ばなしで喜んでもいられない。
4時間スタジオに入って、そのうち3分の1は休憩時間なのに、それでも終わるとヘトヘトになっている。
ヘトヘトのまま、リハが終わった後にすぐさま仕事に向かわなければならないから、朝はノンビリと寝ていられたのに、結果的に疲労度は確実に増した。
7時過ぎに神楽坂の事務所に行き、そのまま朝までゲラとにらめっこ。
笑えば負けだから鬼の形相で仕事をする。


明け方、またいつものようにタクシーで家に帰り着くと、食べるヒマが無くて腐らせてしまった食材がいよいよ耐えられない臭気を放っていて、部屋に入ると同時に思わず顔をしかめた。
そこで、寝る前にひとガンバリしてニオイの元をゴミに出してしまおうと決意する。
ついでにくずかごのゴミもまとめて捨てようと思ったが、中を覗いてみたら空っぽでちり紙ひとつ入っていない。
この1週間、いかにまともな生活していなかったかを物語る光景である。
一瞬、これって究極のエコライフではないかと思ったが、仕事場にはコンビニのおにぎりやサンドイッチの包装が散乱しており、しかも朝まで電気を点けっ放しで仕事しているわけだから、どこからどう見てもエコじゃあないだろう。
むしろ一昔前のモーレツ社員といった風情で、ちょっとレトロな香りがする。
ざまあみろって感じだ。
なんのことやらわからんが、オレ自身もよくわかっていないので、どうか幻聴と思って聞き流してほしい。