帰還/コジマ

日野に帰って参りました。

あちらで済ませてきたのは、つまりお別れの儀式で、それはややこしくて複雑な気持ちを伴うものだった。
とても疲れた。
でも、去年起こった出来事とは違った気持ちで立ち向かうことが出来た様な気がする。
多分「良い葬式」って奴になってたんだと思う。


葬式のことは別として。熊本の天候は大変な事になっていた。
東京都同じく梅雨であることには変わりないのだが、空に浮かんでいる雲が全部積乱雲である。
蒸し暑い。
飛行機が容易に着陸できない。
この時期に赤とんぼがぶんぶん飛んでいる。
信じられない豪雨。
冠水する道路。
いつの間にか熊本は熱帯になってしまっていた。
温暖化の影響だろうか。


親しい人が死ぬと、その人の居た場所と縁が切れる。
多分今後、俺は以前ほど熊本に行くことは無いと思う。
主が居なくなった祖父母の家は、そのうち取り壊されるらしい。
それを見透かしたかの様に、熊本は、とっくに俺の知らない場所になってしまっていた。
お盆に行く予定の鯰田も、多分もう俺の知っている鯰田じゃねえんだろうな、と思う。
まあ鯰田なんて、昔っからそんなに好んで行く場所じゃ無かったけどさ(笑)。


日記の書き出しに「日野に帰ってきた」と書いたが、いつの間にか日野は「田舎から出てきて流れ着いた」場所では無くて「帰る」所になってしまった様だ。
今気がついた。
そりゃ,15年も住んでりゃそうなるわな。