占い/オノテツ

今どんな映画をやっているのか、今週は誰がどこでライブをやるのか、それを知るために昔はマメに「ぴあ」をチェックしていたのだが、最近はさっぱり読まなくなった。
ネットで検索すればいいやと思っているからなのだが、実際にはパソコンを立ち上げでも、メールを確認してスパムを削除するだけで手一杯である。
自ずと情報が途絶え、映画館やライブハウスから足が遠退く。
夜時間が余っても一人で静かに家にいて、カラオケでサンボマスターの曲などを唄っている。


それでも「ぴあ」の巻末に載っている占いだけはよく立ち読みしている。
これがまた当たるのである。
今週はしばらく疎遠になっていた人と再会する運勢にあるらしいが、本当にしばらくぶりの友人や知人から次々と連絡があり、会う約束をしたり仕事を頼まれたりと忙しい。
おかげで寝るヒマを確保するとウンコをする時間が十分に取れないほどで、これも占いのせいかと恨めしく思うほどだ。


ウンコといえば先日、仕事をした後でメシをご馳走してもらったのだが、店に向かう途中で力強くウンコを踏んでしまった。
半蔵門駅の近くの往来のど真ん中だから、まさかそんなところにウンコが落ちているとは思いもしなかったのだ。
しかもけっこうデカイぶつで、ずいぶんと柔らかい。
踏んだ瞬間、ツルっと滑って転びそうになったから、シャーベット状のスリッピーな状態だったのだろう。
とりあえずエンガチョして、近くの街路樹に靴の裏をスリスリと押し付けながら店に向かう。


店はこじゃれたイタリアンで、セレブな人々の溜まり場であった。
縦じまのスーツに身を包んだ若いサラリーマンたちが、日に焼けた笑顔でワイングラスを傾け、でかい皿に盛られた料理を次々に口へ運んでいる。
隣の席では顔からはみ出しそうな眼鏡をかけたご婦人が、ウェイトレスに向かって矢継ぎ早に質問を投げかけている。
オレも対抗してワインについて矢継ぎ早に質問したが、何しろ色白で眼鏡が小さいものだから説得力が無い。
服だって西友で500円で買ったシャツだし、何より足元がウンコ臭い。


これじゃ勝負にならないから、トイレに行くフリをしながら店内をウロウロして悪臭を撒き散らすという作戦に出た。
しかしさすがはセレブの店で、いやな顔一つしないでトイレに導いてくれる。
トイレもいい香りが漂っていて、むしろオレのほうが臭いほどである。
ウンコにまみれた上に敗北感にもまみれ、トボトボと家路についたが、それこそウンコを踏むなんてことは何十年ぶりかに遭遇した事態だから、これも「ぴあ」の占いのせいかと恨めしく思った。


明日からは電車に乗ると便意をもよおすコジマくんの日記。
お楽しみに〜