二人の世界/コジマ

今日中に確定申告を済ますため、昼前から書類整理の続きをした。
年末の大掃除(実態としては中掃除程度だったが)の際、領収書をあやまって大量に捨ててしまったらしい。ショック。

仕事部屋は今凄いことになっているので居間で作業をしていたのだが、その残りの領収書のうち数枚をチグラーシャ(我が家のウサ公)に食べられた。
このド畜生があっ!!!!!!!!!
普通、こういう作業をするときは奴にはケージの中に入って貰うのだが、昨夜からスーパーアクティブな状態でなかなか捕まってくれないのだ。キャベツとかの好物で釣れば一発なのだが、タイミングが悪いことに切らしてしまっている。

我が家では、以前から成るだけ夜1時に奴をケージに入れ翌日の正午頃出すというサイクルを作っている。成るだけ、というのは、うちの人間が俺一人になってからは、仕事が佳境にはいった時や外で飲んで遅くなったりした時は徹底できないこともあるし、それになにより、12時半頃になると奴は気配を察して、ソファの下に潜り込んだりとか人が動くと手の届かないところまで走って逃げたりして捕まらないようになる事がままあるからだ。
我が家に来たことがある方ならご存知だとは思うが、普段の奴は大変人なつっこい質であり、歩いていると足にじゃれついてくるし、何かものを喰っていると「頂戴、頂戴」と身体をよじ登ってきたりして、可愛いというよりも鬱陶しい程のフレンドリーさである。
だがしかし、草食動物としての本能なのか、こっちがあからさまに「さーて捕まえるか」みたいな態度だったり、「捕まえる時間」だったりすると、とたんに警戒心丸出しの態度になってしまう。
こうなると、餌で釣りでもしない限り捕獲はなかなか難しい。
何せウサギは、ああ見えて最大時速60kmで走るのだ。チグラーシャはデブだし運動不足だから60は出ないと思うが、半分だとしても30km/h。馬鹿に出来ない速さである。

以前はそれでも、もうちょっと俺を恐れていて、追いかけるとソファの下や棚の影などに逃げ込んでいたのだが、最近は完全に俺を舐めているらしく、追いかけても手の届かない場所に行くだけで、振り返ってこっちを見ていたりする。憎い。

タツの周りを、チグラーシャとぐるぐるぐるぐる回った。
絵的には
「ほほほ、捕まえてご覧なさい」
「おーい、待っておくれよー」
みたいだ。
非常にむかつく。
海岸ならさわやかな潮騒とかが聞こえてきていいかもしれんが、生憎ここは俺ん家で、さっきからかけている音楽はミッシング・ファウンデーションの拷問みたいなジャンクロックだ。そしてスピーカーの上にはいろんな頭蓋骨が飾ってある。
やはりここでの俺の台詞は「おーい、待っておくれよー」じゃなくて「殺す!」だよな、どう考えても。
捕まえて貴様も俺のコレクションにしてやる、このド畜生が!

結局、捕まらなかった。
いつもの話だ。
分かっていたのだ、ああいう状況だと、もう絶対捕まらないという事は。
しょうがないので、書類一切合切と電卓とハンコを持って、近所のサイゼリアに行き、そこで残りの作業をやって、そのまま直に税務署に向かった。
お昼時だったので、1時間半も粘る客は多分最低の部類だったと思う。

申告の帰りにスーパーによって、キャベツを買って帰った。
帰宅して外側のハッパを剥いていると、奴がすっ飛んで来たのでとっ捕まえてケージに入れた。
キャベツさえあれば、本当に簡単だったのに・・・。
「バーカバーカ!餌で釣られやがってよう。そこが畜生の浅はかさなんだよ!ざまあ見ろ!」
と言ってやったが、キャベツを無心に囓っている奴にはどうでも良いことのようだった。
やっぱり俺の負けだ。

今年は 節税も失敗、還付金は去年の半分程度みたいである。