ホテル・ルワンダ/コジマ

立川に「ホテル・ルワンダ」を観に行った。
俺は、映画好きなくせに、映画館に行くと気分が悪くなるので、ソフト化されそうにないマイナー映画の上映会とかじゃないと劇場に足を運ぶことはほとんど無い。
だけどこの映画の場合、国内上映の為の署名もしちゃっているし、署名だけして実際に上映に行かないってのも筋が通らない。それに仕事が行き詰まっているので一寸息抜きもしたかったし。

予想以上に良い作品だった。
しかし、案の定、大画面に酔って気分が悪くる。
あと、息抜きにはまったく適さない映画だった(まあ最初っから分かってたんだけどさ)。

画面酔いしていて気分が悪かったので、後半から今一ストーリーにのめり込むことが出来なかったのだが、しかしそのせいで色々考えながら観る事が出来たので、そういう意味では良かったか。
俺が実際にこれを観るまで、ちょっと引っかかっていたのが、町山智浩が自身のブログに書いていたホテル・ルワンダの「正しい鑑賞」の仕方だ。http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060114
映画にしろ音楽にしろ美術にしろ、作家の意識と観る側の意識が一致する必要は無い、と俺はいつも思っている。誤解も鑑賞の内であり、そこまで作家は責任を取れないし、観客ももちろんそれに責任はない。だから、町山氏の意見が作家の目からみて正しいとしても、それは余計なお世話だと思っていたのだ。
だけど、この作品は劇映画として成立させるためか民族の対立構造を単純化しており、フツ族=悪、ツチ族=善という風な印象を観客に与えかねない。
これは監督のバックボーンとか、監督やモデルになった人物の意図を有る程度読みとりつつ観る必要があるかもしれない。

ところでこの映画では、ラジオDJが非常に印象的な使われ方をしている。実際のルワンダ内戦でも、ラジオによるプロパガンダが虐殺を煽動したそうだ。
実は、俺は6〜7年ほど前のドキュメント番組で、モノホンのラジオ放送の録音というのを聴いた事がある。映画では結構アッパーな煽り方をしていたが、本物は「イエ〜、はっはっは〜。マリファナでも吸ってリラ〜ックスしながら、ツチ族の奴等をぶっ殺しに出かけようぜぇ〜」ってな感じで、レゲエDJみたいなダルい口調でヘラヘラ喋っており、その分実際に行われた大虐殺との対比が逆に恐ろしかった。

参考までに、こちらのリンク先でホテル・ルワンダの「主役」ポール・ルセサバギナ氏が日本で行った講演と、それに対する現ルワンダ駐日大使の反論を読むことが出来る。
http://www.peacebuilders.jp/symp11.html
まだ「めでたしめでたし」じゃないんだ。