電話と虐殺/コジマ

皆さん、電話は好きですか?ボクは苦手です。
カンガワにもよく怒られました。こちらから掛けることが殆ど無かったから。
話が乗ってくるとそれなりに長く話す事も有るのだが、掛けるとなると何故か構えてしまうのだ、別に電話代をけちっている訳じゃないんだけど。昔は必要な電話すら掛けず仕舞いの事もしばしば有った程だ。仕事しだしてからは大分馴れましたが。

そんな電話が苦手で、かつイイ歳して人見知りをする俺なのだが、仕事の都合で会ったことも無い人々に一日数十軒も電話をしなければいけないハメになった。
有るムックのデータ作成の為、電話取材が必要なのだ。
去年までは電話の三分の二以上はカンガワに任せていて、俺はもっぱらコンピュータ上の処理とか校正とかをやっていたのだが、今年から全部一人でやらなければいけない。
このムックを作る仕事をやりだしてから最初の5年ぐらいは全部自分でやっていたのだが、しかしその後のブランクが長かったのでキツい。最初の1軒目に電話する事を決意するまで30分ぐらいかかった。
最初の1軒を掛けてしまえば、あとは馴れてくるのだけど。
でも知らない人と話すのが苦手なので、話が詰まったりしたときついつい黙り込んでしまう。こういう時に無理矢理喋るとへたな電話セールスみたいになってダメなので、それよりかはマシだと思うが。
思えばカンガワはホントにこういうのが上手だったよなあ。ライブハウスの楽屋で、対バンと仲良くなるのが得意技だった。

夜、久しぶりに借りてきた映画を観た。
「カランジル」。
92年にブラジルで起きた、警察軍による囚人の虐殺事件を描いた作品。
シティ・オブ・ゴッド」もそうだったが、ブラジルの実録バイオレンス映画って、お話としては救いようがないぐらい殺伐としているんだけど妙に明るい。
最後の数十分間は、まるでアンセインのジャケ写のように血塗れだ。監督のオーデイオコメンタリーによると、後半部分は当時の報道カメラマンが撮った写真とか目撃証言を元にして兎に角糞リアリティに徹して作っているらしいが。
この事件では、警察軍関係者には一人の犠牲者も出なかったらしいが、囚人は111人が殺された。そして、誰一人として刑事責任を問われていないらしい。
傑作。
皆さん、警察は好きですか?ボクは大嫌いです。