悟りにチャレンジ/コジマ

昨日は天皇・皇后両陛下即位20年の式典が行われたわけだが、非国民のオイラは「仏陀再誕」を観にいってきた。
先日の日記に書いた、幸福の科学製作によるアニメーション映画である。

「仕事があるのに・・・」とゴネる細君も無理矢理同行(苦しみは皆で分かち合うのが俺のポリシーである)させ、八王子の映画館へ。
最寄の上映館は立川にあるのだが、せめてシネコンじゃなくて、もっと雰囲気のある「映画館」で観たかったからだ。

40席強の狭い館内に入ると観客が6人ばかり居たのだが、アニメだと言うのに全員老人である。
そういえば、先日タダ券を配っていたのも老人だった。
幸福の科学と言えば、バブル期に小金を持っているヤンエグ(死語)をターゲットにのし上った新興カルトだとばかり思っていたのだが、高度高齢化社会を視野に入れて戦略を変えたのであろうか?
それとも、チケット配りをシルバー人材センターか何かに委託した結果、さばき切れなかった枚数が関係者に回った結果なのだろうか?
ワンカップを飲んだり私語をしたりで全然まじめに観ていない者も居たようなので、多分後者だろうと俺は思う。
熱心に観ていた御老人も居るのは居たのだが、もうすぐお迎えも近いだろうから「仏様」の話だったら信者さんじゃなくても聴きたいかもしれんしね。

まあそういう次第の映画だし「ネタバレだ!」と怒る人もあまり居ないと思うので、あらすじをざっと説明(注意・俺の主観が相当入ってます)。

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新聞部に所属する女子高生・小夜子は、ある日同級生の「心の声(もちろん自分の悪口)」が聞こえたり、霊が見えたりするようになる。
帰宅途中、自殺した新聞記者の霊を見た小夜子は、霊に引っ張られて線路に飛び込んでしまう。

迫り来る列車を前に、あの世の裁判所で「神仏を信じず、宗教を貶める記事を書いた罪」「自殺した罪」で裁かれる件の新聞記者の姿を霊視する小夜子。
「宗教を貶める記事を書いた罪」のくだりに大川チェンチェイのマスコミに対する悪意が感じられます。

危機一髪の小夜子を助けたのは、元彼・ユウキだった。
小夜子の症状はあきらかな精神分裂病の兆候を示していると思うのだが、元彼・ユウキは肉体と霊魂の説明とか、自殺者の霊は悪霊になるとか、妄想を助長する様なことばかりを彼女に吹き込む。
ちなみに、小夜子とユウキが別れる原因になったのはユウキの秘密主義にあってこの秘密にしている部分ってのが物語のキモなんだけど、ここのユウキの霊魂話でもうバレバレです。

妄想で頭がパンパンになった小夜子は、テレビで新興宗教の一大宗派会長・荒井東作(一目で「ああ、この人悪役だな」と分かるので安心です。ちなみに、他のキャラクターと違って劇画顔)の霊能力を見て「この人が仏陀の生まれ変わりに違いない」と思い込む。
この荒井さんってのは池田チェンチェイをイメージしてるんだと思うんだけど、CVが銀河万丈で驚いた。
銀河万丈創価学会のラジオスポットCMのナレーションもやっているのをご存知の方も多いと思うが、幸福の科学の映画、しかも「大作=悪党」みたいな役で、今後もあの仕事を続けられるのか他人事ながら心配です。

新聞部の取材で池田・・・じゃねえや荒井センセイへのインタビューをしに行く小夜子だったが、それを聞きつけたユウキは「荒井はワルモノだっ!小夜子が危ない」と助けに行く。
ワルモノの総本山(信濃町辺りか)で勇気が騒動を起こしたせいで目を付けられた主人公たち。
弟の瞬太が荒井に呪いをかけられ、病に倒れてしまう。

瞬太は小夜子たちの父の病院に担ぎこまるが、病名がわからない。
苦悩する父に「あれは悪霊が憑いているのよ」と言う妄想を吹き込む小夜子。
父は医師のくせに小夜子の病状に気づかず、叱り飛ばすのだった。
分裂病寛解には正しい向精神薬の処方と早期の入院が必要なのだが、父親の無理解のせいで小夜子の病状は刻一刻と悪化していく。
思うに、瞬太の病名がわからないのも、この親父がヤブだからなんじゃねえのか?
セカンドオピニオンって大事だよね、と思わせるエピソード。

ここで病院に、怪しいガイジンと怪しい女優が突如登場。
おどろく小夜子に、自分たちはユウキの仲間で、真の仏陀の生まれ変わりである空野太陽センセイ(大川チェンチェイのつもりなんだと思うが、バカボン顔じゃなくて「善玉」だと一目で分かるハンサム顔、ただしやはり劇画調。この映画、霊能者は劇画調なのですぐわかって便利です)と共に真実の教えを広めようと働いている「TSI」の者だ、と告げる。
どう見ても怪しいことこの上ないのだが、元彼が居る安心感とドーパミンが出っぱなしになってデンパバリバリなのとでアッサリこのカルトに篭絡される小夜子。
カルトはあなたのこころが弱っているときに付け入ってきますから気をつけなさい、と言うイイお話です。

空野センセイの除霊で回復する瞬太。
驚く小夜子父に「あんたガンでしょ?」と言い当てる空野センセイ。
小夜子父は、保って半年と言うガンに冒されていたのだが、家族には内緒で一人悩んでいたのだった。
死を恐れる小夜子父に、あの世の存在と霊魂の不滅を説く空野センセイ。
こうして小夜子一家はそろってこのカルトに入信してしまうのだった。
カルトはあなたのこころが弱っているときに(以下略)


ちょうどそのころ、池田・・・じゃねえ荒井センセイ一味(以下ワルモノ)の悪巧みは着々と進行していた。
お祭りの夜に東京上空にUFOの大群が現れ、地上を攻撃しはじめる。
大パニックに陥った東京だが、空野センセイの力を借りた小夜子がUFOを撃退。
この映像がようつべに流れ、「東京を救ったなぞの美少女」としてマスコミに追われだす小夜子。

このUFOもUFOによる攻撃も本物ではなくて、荒井チェンチェイによる集団催眠らしいのだが、この辺全然説明不足でなんだかよくわからない。
脚本ひどすぎ。
ワルモノの計画では、UFOを荒井センセイが撃退すると言う自作自演をやって、日本をワルモノで掌握すると言う手はずだったらしいのだが、そんな大規模な集団催眠が可能なんだったら回りくどいことやる必要なんか全然ねえんじゃねえの?

ここで唐突に空野=大川センセイの説教が入る。
いわく、「現代人は名誉欲、金銭欲などに凝り固まっている。欲望を捨てなさい」。
信者さん以外の観客は、ここで「オマエが言うな」と突っ込みを入れたくなると思います。
この説教で、もともと悪かったストーリーに流れがさらに悪くなった。
この映画自体、大川センセイ監修なんだから全体的に説教くさい(と言うか説教そのもの)んだから、説教シーンいらねえんじゃねえの?

ああそうそう、説教の会場に向かう途中で、ユウキが小夜子に「自分の秘密主義は、宗教をやっていることを知られたくなかったから。だって引くでしょ?」と、この物語で一番リアルで納得できる話をするのだった。
うん、引くよね普通w。

さて、そのころワルモノは悪巧み第2弾を決行。
東京中の放送局を全部占拠して荒井センセイの演説を流す。
「これから日本全国を、高さ200メートル、速度800キロ(笑)の大津波が襲います!助かりたければ私に従いなさい!」
大パニックに陥る東京。
勿論、この大津波も荒井チェンチェイによる集団催眠で、前回と同じく空野センセイの力を借りた小夜子が騒動を治めて事なきを得る。
しかし、何度も言うようだが、荒井センセイの大規模集団催眠があれば、こういう回りくどいことやらなくても日本ぐらい簡単に手に入れられるんじゃねえの?
それに加えて、東京中の放送局を全部押さえられるぐらいの機動力もあるんだしさ。

こうして悪巧みは失敗におわり、ワルモノの教団本部(多分、信濃町)にやっとガサが入るのだが、荒井センセイは逃げたあとだった。

めでたしめでたしかと思いきや、小夜子をさらった荒井センセイがUFOに乗って、野球の試合中の東京ドームに現れる。
「このドーム中に爆弾を仕掛けた。5万人の観客を死なせたくなければ、『荒井センセイこそ真の仏の生まれ変わり』だと言うんだっ」と小夜子を脅す荒井センセイ。
この物語では「ワルモノ」とされているUFO(デザインもスゲエ邪悪な感じ)に乗って現れる時点で、もう台無し。
しかしそういうことはあまり考えないことにしないと物語に乗れないことにやっと気づく俺だが、もう映画も終盤なのだった。

小夜子の運命やいかに?!
そうして、これからどうなるんだ銀河万丈

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上映時間は2時間弱なのだが、3時間にも感じられる超大作だった。
結末が知りたい方は、是非是非劇場に足を運んでください(居ないか)。

ああそうそう、主題歌は大川センセイがゴータマ・シッダルタの霊の指導のもと作詞をした「悟りにチャレンジ」と言うスゲエ歌です。
ある意味忘れられないぐらいの衝撃を受けました。
多分、今後の俺の詞はこれの影響下に書かれると思いますw。

http://www.youtube.com/watch?v=pixhN_FA1ho

追記・
非国民のオイラでも、即位20周年式典のエグザイルは何とかならなかったのか、と思います。

追記2・
エンドロールで協賛企業が延々流れるんだけど、あれって企業イメージ的にはマイナスなんじゃねえの?

追記3・
ウィキによると「興行通信社調べによる全国映画動員ランキング(2009年10月17日・18日)で2位」らしい。
なるほど、ランキングのからくりってこういうことなんですね。大人ってキタナイよ!