瞳/コジマ

NHKのアナウンサーに、登坂さんと言う人が居る。
若白髪の上、能面の「痩女」にクリソツな顔をした不健康そうな男性なのだが、朝の連ドラ(と言っても、俺は夜型なので昼の再放送の事になります)が終わった直後のニュースの時の表情が面白くて、俺はファンなのだ。
前作「ちりとてちん」の時に気が付いたのだが、ニュースが始まる直前までモニターで観ているのか、ドラマがハッピーエンドや笑えるエンディングの時は微妙に微笑んでいて、ハラハラする展開の時や悲しいエンディングの時は少し悲しそうな顔をしているのである。
そして、今やっている連ドラ「瞳」はスゲエつまらないのだが、そのせいか大体いつも登坂さんは無表情なのだった。

しかし、「瞳」は本当に腹が立つぐらい面白くない。
愚にも付かない脚本、陳腐なセリフ回し、モチーフ(今回はヒップホップダンス(失笑)だってさ)の浅すぎる描写、大根の主人公。前田吟や西田俊行などのベテランで脇を固めているのに、彼らですら大根に見える恐ろしいドラマだ。
だったら観なきゃいいのだが、昼の再放送時が昼飯を食べるタイミングなので、何となくテレビを点けてしまうのだ。
で、今日も飯時についついテレビを点けてしまった。馬鹿か俺は。
何か色々、陳腐な展開があってエンディング。
演出的には「ほのぼのとした終わり方」だったのだが、あまりにも予想通りな展開に殺伐とした雰囲気になる我が家のお茶の間。
思わず手にした箸をモニターに投げつけたくなったのだが、ニュースに切り替わった瞬間、登坂さんの顔に釘付けになった。
鬼のような顔をしていたのだ。
いつもは「痩女」なのだが、今日は「般若」なのだった。

あの温厚そうな登坂さんをここまで怒らせるとは。
NHKも、こんなドラマはさっさとうち切ったらどうか、と思ったのだが、明日明後日で終わりらしい。
やれやれ。
しかし、ニュース待ちのアナウンサーを怒らせるとは、或る意味スゲエな、「瞳」