狭さ/オノテツ

かつて親交のあったフォトグラファーのMさんからメールをもらい、個展をやっているからよかったら来てくれとのことである。
懐かしく、また彼女の写真が好きだったので、めずらしく仕事が早くに退けたのをさいわいに、都営新宿線大島駅まで足をのばした。
大島という駅にはじめて下車したが、昔ながらの商店街が残っていて、その商店街の中心には銭湯がそびえ立っており、活気のあるとてもいい町に見える。


焼鳥屋の角を折れた路地に、Mさんが個展をやっているギャラリー兼カフェがあった。
店を経営しているのは、むかし彼女の引越しを一緒に手伝って、その後吉祥寺の「いせや」でトコトン飲んだことがある、Tさんという陶芸家である。
こじんまりとした店内にはTさんの作品がところせまし並んでおり、壁にはMさんの写真が展示されている。
奥にカウンターがあり、壁にそって小さなテーブルが2個、丸椅子が6個ほど並ぶ。
ほどよい狭さで、なかなか居心地がいい空間だ。


カウンターで飲み物を出してくれる男性が、どこかで見た顔だと思っていたら、ボブ&ヒデの友だちで、ライブ会場で何度か顔を合わせている人であった。
造形作家で、ボブ&ヒデのCDジャケットのデザインなどもしているらしい。
陶芸家のTさんとともに、お互いに自身の活動を続けつつお店をやっているそうだ。
店は水曜日から日曜日の午後だけオープンしており、他の時間を制作にあてているのだろう。
大島という意表を突くロケーションで、小さな店のこじまんりとした活動ではあるが、奥行を感じさせる豊かな暮らしぶりである。

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