大同/オノテツ

2008年最初の日記である。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
などといって、去年よろしくしてもらったから、きっと今年もよろしくしてくれるに違いないとタカをくくっているのである。
何とも能天気な話だが、メデタイから誰もとがめることがない。
正月くらい各人が責任を持ち、「今年はよろしくします」と堂々と宣言すべきであろう。


さて、今年の冬休みはずいぶん長期にわたるらしく、海外や大気圏外に旅行に行く人も多いと聞くが、そうして世間が手薄になったときこそが、われわれ隙間狙いの仕事をしている者にとっては稼ぎ時である。
ことわっておくが、隙間狙いと空き巣狙いは似て非なるものだ。
そこにはマなのかアなのかという大きな違いがあるわけだが、まぁ、大同小異といえなくもない。
いずれにせよ、稼ぎ時というわけだから、12月31日と1月1日だけはノンビリと家でゴロゴロしていたものの、それ以外はゴロゴロしながらも仕事をした。
ホントは2日も3日も、頑張れば4日も5日もゴロゴロとしていられたのだ。
だが、ただ単にゴロゴロするのに飽きてしまったから、稼ぎ時なのをいいことにゴロゴロしながらついつい仕事をしてしまった。
ジッとしていられない性質の人はよくいるが、オレはジッとしていることはできるが、ただゴロゴロとはしていられない性質だ。
ゴロゴロしながら仕事をしたり、ゴロゴロしながら掃除をしたり、洗濯したり、メシをつくったり、食ったりと、いろんなことをしてしまい落ち着きがない。


そうこうしているうちに、早くも7日になり、事務所に行って打ち合わせをしなければならなくなった。
ふつうの会社なら、いわゆる仕事始めには独特の高揚感があり、それはそれで疲れるのだろう。
その点、うちの事務所はみんながみんな隙間狙いの人々だから、盆だろうと正月だろうといつもと変らぬテンションの低さを保っていて気が楽である。
それでも、新年最初の出勤日には、あいさつ代わりに冒頭のような常套句を交わす。
隙間狙いのくせにずいぶんふつうのことをすると、いささか奇妙な印象を抱かないわけではない。
しかし考えてみると、たとえば単独行動が多い空き巣狙いの方々にとっては、新年のあいさつなど交わす機会がないかもしれず、そこが隙間狙いと空き巣狙いを分かつ大きな分岐点となる可能性もある。
正月早々あいさつの大切さを痛感させられたが、とはいえたかがあいさつであり、大同小異であることには変りはないだろう。