夢は夜ひらく/コジマ

元スーパー店長に懲役8年求刑=万引き犯暴行死−千葉地裁

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%cb%fc%b0%fa%a4%ad&k=200712/2007120300820

最近似たような事件が多く、聞く度に暗澹たる気持ちになる。

俺自身、過去店員として万引きにはウンザリさせられていた事もあるし、祖父がレコ屋だったので(これが利益率低くて1回万引きされると取り戻すの大変なのです)万引きは結構洒落にならないのは分かる。
でも、やはりそれでも、命で購うような罪では無いと思うのだ。
ところが割と世間は厳しいようで、ざっとネットの皆さんの意見を読んだところでは「万引きする奴が悪い」「殺されて当然」とおっしゃる方が多いようである。
ううむ。
昔はそうじゃ無かったと思うのだが。
少なくとも、ジイさんをはじめ俺の知っている古手の商売人は、もうちょっと情けと言うものを知っていたと思う。
「八百屋の裏で泣いていた 子供を背負った泥棒よ キャベツ一つを盗むのに 涙は要らないぜ」という、三上寛の歌を思い出す(まあ今回の万引き犯はビールつまり嗜好品を盗んでおり、その点が又世間の怒りを買っているようではあるのだが)。

事件が起こった当初の報道によれば、店長氏は万引き犯に対して動かなくなるまで暴行を加え、店の裏に捨てたそうだ。
「職務への熱心さが背景にあった」と弁護士は主張している様だが、そこまでの苛烈な制裁には「職務への熱心さ」よりも「こういう酷薄な世相」が背景に有った様な気がしてならない。
先日、逆にビールを万引きした少年にコンビニ店員が刺し殺されるという悲惨な事件もあった。
「たかが万引きと言う無かれ」と言う主張はわかるのだが、しかし、あえてそれでも「たかが万引き程度で命のやり取りすんなよ」と言いたくのは俺だけなのか?

「万引き常習犯には良い見せしめだ」「これが正義だ」とおっしゃる向きもあるようだが、代償が大きすぎる。
例え執行猶予が付いたとしても(求刑8年の時点でそれはないのだが)無罪になったとしても、店長氏の一生はもうほぼ台無しである。人を殺したと言う意識は一生付いて回るだろう。
この店長氏が事件後「懲戒解雇」されていると言う事実も、やりきれない気持ちにさせられる。

万引き犯も殺した方も気の毒過ぎる。
やっぱりここは、あえて「たかが万引きじゃねえかよ」と言いたいのです、俺は。