領土問題/コジマ

ここ数日、コタツを巡ってチグラーシャ(うちで飼っているウサギ)との緊張関係が続いている。
奴がコタツの領有権を主張して譲らないからだ。
昨年もそうだったのだが、コタツの中を「自分のテリトリー」にしてしまっているらしく、俺が足を入れると噛みついたり前足でひっかいたりして攻撃してくるのである。
飼いウサギの祖先は、ヨーロッパアナウサギと言う、地面に穴を掘って巣を作って暮らしている種類だそうだから、暗くて狭い場所はお気に入りなのだろう。

お気に入りなのはいいが、コタツは俺の物である。言うなれば、我がコジマ民主主義人民共和国固有の領土なのである。民主主義人民共和国が感じ悪かったらコジマ帝国でもいいけど・・・いやそっちもあまり良くねえな、とにかくコタツを畜生ごときに譲ってやる訳にはいかないのである。
仲良く出来ればそれに越したことは無いとは思う。しかし、ネコと違って、奴らはコタツを人と分け合うことをしない。
独り占めするだけならまだしも、中にウンコを大量にばらまいたり、コタツの下のカーペットを掘って穴を開けたり、コタツ布団を掘って穴をあけたり、そりゃあもうやりたい放題なのである。
何かの隠喩っぽく聞こえるが、我が家で行われている奴の蛮行は書いたそのままだ。
とうてい許すわけにはいかない。

幸い、我が軍にはウサ公と違って圧倒的な科学力がある。
ウサギは暑さに弱いので、コタツの電源を入れるとそれに耐えきれることが出来ずに、10分ぐらいですごすごと退却させることが出来るのだ。
今日の早朝、仕事明けも、奴がコタツに籠城していて、俺が足を入れるとブウブウ言いながら攻撃してきた。
ふははは、そこが畜生の浅ましさよ。何度占領しても同じ事だ。
おもむろにコタツのスイッチに手を伸ばし、スイッチを入れたとたん
「バンっ!!!」
と言う音がして家中の電気が消えた。
まさか、と思ってコタツのケーブルを引っ張り出してみると、案の定ぶっちぎれている。
切断されたケーブルの中の銅銭が接触しており、スイッチを入れた瞬間にショート、家のブレーカーがとんだらしい。
もしかして、電源入れられるのが嫌でケーブル噛み切ったんだろうか・・・いや、まさかそんな事は無いとは思うが。
しかしチグラーシャよ、いくら領土紛争とは言え、やって良いことと悪い事があるだろう貴様。
下手したらアンタも感電死だよ?

ケーブル買い換え。680円也。糞。
これからは、コタツを使っていないときはケーブルを抜いた方が良さそうだ。面倒くさいな。っつーか、ケーブルを結線するためにコタツの中に手を入れた瞬間に、奴に攻撃されやしないだろうか。

このように、局地戦で核兵器を使うような恐ろしい戦い方をするチグラーシャを前に、俺はだんだん万物の霊長としての余裕を失いつつある。
我が家の平和の為には、コタツをしまった方が良いのだろうか。