ミニ丸/オノテツ

昨日は高円寺ペンギンハウスにて金色夜叉さんたちとセッション。
リハ後にメンバー一同で名曲喫茶に行き軽く打ち合わせるが、交響曲が高らかに鳴り響く中「ミニマルな方向で」と決まってもイメージが沸かず、本番ではひとり暴走して弾きまくってしまい、その結果見事に浮いた。
セッションの前には金色夜叉がソロでいつもの曲を三曲ほど演奏したのだが、ブルースバンドとソウルミュージックのビッグバンドが散々場を盛り上げた後に登場するという逆境の中で清々しいほどに自分自身の世界を演じ切り、オレは狭い店内の奥の奥で快哉を叫んだ。
あるいは、弾き過ぎたのはその興奮が残っていたからかもしれない。
即興演奏はそのときの感情に任せて演奏するのではなく、感情を抑えて即物的に相手の音に反応すべきものだと思っている。
その意味で昨日のオレの演奏はあまりにひどい。
が、あらかじめ打ち合わせた路線に沿って演奏するだけでは即興の意味すらなく、それを裏切ったという意味ではある意味意味のある演奏だったのかもしれない。
でも意味ある演奏なんてまるで意味がないから、やっぱりダメなもんはダメだ。
だめッ!


ライブ終了後は40歳前後の男女が残ってインディーズ昔話に花が咲く。
みんな目が過去にばかり向いていていかん。
などと言う言葉がそこはかとなく浅はかに感じられるほど内容の濃い話がポンポンと飛び出す。
だって、かつて非常階段の一員だった御婦人とギズムに絡んだこともある殿方がいらっしゃったのだから、それで盛り上がるなというほうがムリだ。


帰り道、ゼンプッシーに寄ってコジマくんと会い極秘情報を収めたDVDを受け取る。
タンカレーをロックで注文すると、ハンドメイドらしき素朴ないなり寿司を勧められた。
この組み合わせは、あきらかにあらかじめ心の中で打ち合わせた路線とは違う。
しかし、そのズレがある意味心地好い。
まるでスティーライヒのピアノフェイズのように、トウモロコシから米へと味覚が徐々に移ろい、やがて新たな味になる。
最高の取り合わせとはいえないが、絶妙の組み合わせだ。
ただ、素朴ないなり寿司はとても美味かったが、素朴さゆえにポロポロと床にこぼれ落ちて惜しまれた。


さて明日からはお待ちかね、コジマくんの日記。
蘇ったおじいさんはその後も元気らしいです。