整体と花見と失言/コジマ

仕事で徹夜した後、頸と左肩が痛くてたまらないのでそのまま整体に行く。
「早いですね」と言われたので「徹夜明けです」と答えたら「それは健康に良くないですねえ」と言われた。
いや先生、良くないのは重々承知なのです。

今日の担当はごつい柔道部員みたいな先生だった。
楽しさで言うと昨日の女の先生にマッサージしてもらった方が全然楽しいのだが、整体の技は今日の先生の方が遙かに上手なような気がした。
痛いのは左肩なのに、右の脇腹とか脚を押したり引いたりしているので「大丈夫かなー」と思っていたのだが、終わってみると相当楽に。
腕が普通に回せる。素晴らしい。
「激しい運動はしなくていいが、継続して毎日1時間は散歩するようにして下さい」
と言われた。
「ジジイみたいですね」
と言うと
「うちはお年寄りの患者さんも多いので、そういう物言いは止めて下さい」
と怒られた。
「ジジイ」じゃなくて「お年寄り」がこの場ではふさわしかったか。
散歩は馬鹿に出来ないらしい。今までのように時々ランニングするより、毎日散歩する方が運動量としては多いそうだ。

身体も軽くなったので、言われたとおり散歩がてら花見に出かける事にした。
結構寒い。
一度帰宅してもう1枚着込み、ポットに白水のお湯割、タッパーに作り置きのアジの南蛮漬けを入れて高畑不動尊に向かう。
ここに来るのはすげえ久しぶりだ。
カンガワが生きていた頃は週に2〜3回は散歩に来ていたのだが、あれ以来生活様式が全然変わってしまった。
裏山に入って山道を一周。これでちょうど一時間ぐらいだ。
桜はかなり散りだしているが、山の中の桜はまだまだ満開の部類に入るだろう。

境内に降りて、お湯割を飲む。
南蛮漬けも出してみたが、どうも箸が延びない。
月曜にアジが安かったので大量に作った。自分でもかなり上手に出来た部類だと思うのだが、さすがに毎日喰っていたから飽きてしまったらしい。
箸でちょっとづつむしりながら、境内の池に居る鯉に与える。
鯉共には好評な様だ。
「・・・・共食い」
という単語が頭に思い浮かび、ニヤニヤしながら次々に与えていると、足元にミニチュアダックスフンドがじゃれついているのに気が付いた。
どうも南蛮漬けが欲しいらしいが、タマネギが入っているので犬には喰わせられないな。
何となく頭を撫でていたら、飼い主らしい婆さんがニコニコしながら近づいてきた。
「あらあら、お兄ちゃんに可愛がられて良かったわねえ〜」
等と言うので俺も一言ぐらい犬を誉めなければいけないと思い
「可愛い犬畜生ですね」
と言うと、婆さんはギョッとした表情でこちらを見る。
ああいかんいかん、ここは「犬畜生」じゃなくて「ワンちゃん」が適正な用語でしたね。

徹夜明けは失言が多い。
おまけに酔っていると駄目だ。

帰って昼寝し、起きたら夜になっていた。
典型的な駄目人間の一日。