「Let's go.」 「Why not?」/コジマ

カンガワが死んで今日で2ヶ月目だ。
仏教では、月忌とか言って坊主を呼んだりするらしい。もちろん俺には信心が無いので坊主など呼ぶはずも無く、それに仕事も遅れがちなので特に何もしなかった。
花を新しいものに取り替えて、晩飯に彼女の好物を作ったぐらいだ。作っても喰うのはどうせ俺だ。2人分喰おうと一寸だけ思ったが、やっぱりそんなに喰える訳ねえし止めといた。それくらいの分別はあるんだよ、つまんない事に。

仕事の資料で、わたせせいぞうのイラストが必要になったのでブックオフに探しに行った。つまり「わたせせいぞう風のイラストを世露死苦」って事だ。そんな資料は新本じゃなくてもブックオフで十分である・・・ほら有った。105円(税込み)。
俺は仕事は選ばない主義なので、頼まれれば(そして資料さえあれば)わたせ風にでもケン月影風にでもゾーネンシュターン風にでも描くのだが、それにしたってわたせせいぞう風の依頼は2回目である。依頼主は違うのにだ。
もしかして、俺のイラストってディフォルトでわたせせいぞう的な何かが有るんだろうか。
だとしたら、俺の今までの人生は何かが大きく間違って居たって事だ。もしかしたら死んだ方がマシなのかもしれない。せめて渡瀬恒彦風にせよとの依頼だったら未だ良いのだが、しかし渡瀬恒彦風イラストってのはそれは一体何なんだよ畜生。

何だかやさぐれて来たので他の本も物色していたら、驚くべき代物を発見。何とウォーレン・オーツのエッセイ(自伝?)、つまりタレント本だ。知らない人のために解説するとウォーレン・オーツというのはアメリカの俳優である。「ワイルドバンチ」「昼下がりの決斗」等ペキンパー作品の常連で、名作「ガルシアの首」では主役を務めているオヤジだ。
俺の好きな役者の一人なのだが、だがしかし「渋い」とか「味がある」等の形容詞が付くことは有ってもスター性は皆無だと思っていた。
でも、タレント本が、しかも日本語訳版が出るほどの人気が有ったとは。
いや、俺の不見識でした。